FA制度とカープ 取られる制度から取る制度への変革は今だ

1993年に導入されたFA制度、今年で25年目となる。導入から実に四半世紀という長い年月が経過しているにも関わらず、カープは未だにこの制度を利用した選手の獲得を行っていない

あくまで生え抜きにこだわった選手育成により、2016年に25年ぶりの優勝、そして2017年にリーグ連覇を成し遂げ、カープの育成方針は間違っていなかったことを証明したとも言える。

しかし、ここに至るまでには25年という長い低迷期を経験している。奇しくもFA制度と同時に始まっているが、これは決して偶然ではない。FA制度こそがカープ低迷の一番の要因と言っても過言ではないのだ

苦難の連続であったカープにとってのFA制度、その歴史を紐解いていく。

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FAはカープにとって選手を取られる制度

これまでのカープの歴史の中で、FA制度によってこれまで多くの選手が流出している。1994年の川口和久にはじまり2015年の木村昇吾に至るまで、その数は8人にも上る。

過去のFA移籍選手

年代
名前
移籍球団
1994年 川口和久 読売ジャイアンツ
1999年 江藤 智 読売ジャイアンツ
2002年 金本知憲 阪神タイガース
2007年 新井貴浩 阪神タイガース
2007年 黒田博樹 ドジャース
2008年 高橋 建 ブルージェイズ
2013年 大竹 寛 読売ジャイアンツ
2015年 木村昇吾 埼玉西武ライオンズ

上表を見てもらえば分かる通り、カープファンならずとも、野球好きな人間ならば誰もが知っているような一流選手ばかりだ。

その一方、同制度で獲得した選手は前述の通り1人としていない。これは12球団でカープだけ、球界で唯一FAでの選手獲得を行ったことがないことになる

手塩にかけて育てた選手FA制度でチームを去る一方、その制度を利用して選手を獲得することができない、カープにとってFAとは選手を取られる制度として苦しめられてきた

独立採算が選手の獲得と流出の抑止を妨げる

カープは市民球団という名目の元、独立採算でチームを経営している。

他球団のように赤字を補填してくれるスポンサーは存在しないため、赤字経営を続けようものなら球団自体が消滅する事態にもなりかねない。当時、スタンドには空席が目立っており、決して経営状況が良いとは言えない中で球団を維持しようと思うと、戦力補強に費やせる資金など限られたものしかなかった。

FAでの選手獲得、そして、FA権を行使した自軍の選手を慰留するには多額の資金が必要になる。球団を維持するのがやっとだったカープに、そこまでの余剰資金を持ち合わせているはずなどなかった。

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転機は新球場建設

そんなカープにも転機が訪れる。現在の本拠地であるマツダスタジアムの建設だ。

2009年に完成したこの球場に移転してからというもの、観客動員は大きく改善された。新球場効果による初年度はもちろんの事、2年目以降も、以前の本拠地であった広島市民球場の時代と比較すれば多くの観客がスタジアムに足を運んだ。

資金難で苦しむカープはもう存在しない

積極的なグッズ販売も功を奏した。経営状況は一気に好転、それによりチームの補強にも資金を投じることができるようになった。

これまでできなかったFA権取得選手に対しての複数年契約の提示もそうだし、外国人選手に対しても多くの資金を費やせるようになった

その効果は顕著で、2009年以降のFAによる流出はわずかに2人、外国人についても、資金難を理由に次々と他球団に流れてしまっていたこれまでとは違い、必要な選手には大きな契約を提示することでチームに残すことができた

ここまでカープが強くなったのには、ドラフトにおける逆指名制度の撤廃など、他にも多くの要素はあるが、長い年月をかけて育てた選手をFA制度によって失わなくなったことが大きな要因であることは間違いない。

長い低迷からの脱却 そして見えてきた黄金期

ここ数年のカープの躍進は周知のとおりだ。

2016年は、前年までエースだった前田健太が大リーグ挑戦によりチームを抜けたが、野村など若い投手たちがその穴を埋め優勝、翌2017年も、元メジャーリーガー黒田博樹の引退がありながら、岡田や薮田といった新戦力の台頭により連覇を成し遂げた。

投手陣と同様に、スタメンに名を連ねる野手陣も若い選手が名を連ねる。4番鈴木誠也が20代前半、田中、菊池、丸、安部の同世代カルテットも20代後半とまだまだ働き盛りだ。

2018年以降も強いカープの時代はしばらく続くことが予想され、赤ヘル旋風を巻き起こした1980年代のような黄金期を築いていける可能性も大いにあるだろう

だからこそFA選手の獲得に動くべきだ

今や、セリーグの他球団から頭1つ抜け出しているカープだが、不安要素がないわけではない

若い選手が台頭しつつも、イニングを食えないが故に中継ぎに負担をかけた先発陣もそうだし、新井やエルドレッドといった高齢のベテラン選手達はいつ衰えてもおかしくない。

その穴を埋めるのは、今まで通り生え抜き選手にこだわるのではなく、今こそFA制度により選手を獲得してほしい。どこかの球団のように、目についた選手を片っ端から集めて継接ぎだらけのチームを作るのではない。現状のチームに足りないピースを埋めるためのFA補強。チームの核が完成されているカープだからこそ、FA制度を有効に活用できるのではないだろうか。

自慢の育成力に加えてFAによる補強、その2つが合わされば再び赤ヘル旋風を起こすことは難しくない


広島カープ2年連続セ界一! (洋泉社MOOK)

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